ロボット工学三原則(ロボットこうがくさんげんそく、Three Laws of Robotics)はロボットが従う原則であり、SF作家アイザック・アシモフによって書かれた(作中では、2058年の「ロボット工学ハンドブック」第56版からの引用という形になっている)。ロボット三原則(ロボットさんげんそく)とも言われる。
第一条 ロボットは人間に危害を加えてはならない。また、その危険を看過することによって、人間に危害を及ぼしてはならない。
第二条 ロボットは人間にあたえられた命令に服従しなければならない。ただし、あたえられた命令が、第一条に反する場合は、この限りでない。
第三条 ロボットは、前掲第一条および第二条に反するおそれのないかぎり、自己をまもらなければならない。
(日本語訳は『われはロボット』小尾芙佐訳 昭和58年 早川書房 P5 より引用)
という3つの原則からなり、アシモフの小説内に登場するロボットは、ほぼ例外無くこの原則に従うように描かれている。
これら理念はその後のロボット作品に影響を与え、ロボットやサイボーグなどがアイデンティティーの確立や人間と接し方などでジレンマを感じ苦悩するといった材料となる。
成立の経緯 [編集]
この三原則の成立には、SF作家及びSF雑誌編集者のジョン・W・キャンベル Jr.が大きく寄与している。アシモフがロボットテーマ短編『ロビイ』、『われ思う、ゆえに……』(『われはロボット』所収)を書き上げたとき、アシモフ本人は三原則をまったく意識してはいなかった。しかし、この作品をキャンベルに読ませたところ、キャンベルはロボットが一定の規範の下に行動していることを洞察、指摘し、三ヵ条にまとめた。これがロボット三原則の基(もと)になったと言われている。 なお、キャンベルがこのように作品世界に踏み込むような行動をしたのは当時キャンベルがアシモフの担当編集者でかつ先輩作家としてアシモフを指導する師父的立場にいたためである。
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アシモフが自らのロボット物にこうした行動の規制を設けた最大の動機は、短編集『ロボットの時代』で自ら語っているところによれば、『フランケンシュタイン』や『R.U.R.』から延々と繰り返されてきた「ロボットが創造主を破滅させる」というプロットと一線を画すためであったとされている。また、「ナイフに柄が付いているように、人間の製作物なら何らかの安全装置があって然るべき」「ファウストはメフィストと出会うべきであるが、破滅すべきではない」とも述べており、このあたりに合理主義者・人道主義者のアシモフらしさが伺える。またアシモフは、本則がしばしば「アシモフの法則」と呼ばれている事に対して、自分は科学者の端くれでもあるので架空の科学分野における架空の法則で後世に名前を残すのは本意では無く、将来現実のロボット工学が発達して三原則が実用されれば真の名声を得られるかも知れないが、どのみち自分の死後の事であろうとも述べている(残念ながら彼のあまりに早すぎる死によって、その言葉通りになってしまった)。
なお、『われはロボット』などの作品世界において、ロボットに三原則を実装する事が法律などで特に義務付けられている訳ではないが、にも関わらず例外なく三原則が厳格に適用されているのは、ひとつは製造元であるU.S.ロボット社が、ロボットの一般への普及における最大の障害となっている「フランケンシュタイン・コンプレックス」への対策として、ロボットが三原則故に人間に危害を及ぼす事が絶対に有り得ないと強調・宣伝している事、もうひとつは三原則がロボット頭脳の設計理論の根幹を成しているために、三原則非搭載の頭脳設計には多大な労力と期間を要する事になり事実上不可能である事が理由である、とされている